水曜日, 3月 16, 2005

愛の文明

愛の文明

ここまでの考察を結ぶにあたって、わたしはもう一度繰り返す必要を感じています。世界に真の平和を築くためには、正義が愛のうちに成就しなければならないからです。確かに、法は平和へと続く最初の道で、人々は法を守るよう教えられなければなりません。しかし、正義が愛によって補完されていなければ、道の終わりにたどり着くことはできないのです。正義と愛は時に、相反する力のように思えることがあります。しかし実際、それらはある一つの現実の二つの様相にほかならないのです。

人間の生のこの二つの様相は、互いに補い合うことで成り立つのです。歴史上の事実は、このことが真実であることを証明しています。それはいかに正義が、恨みや憎しみ、あげくには残虐性からも逃れられなかったことを示しているのです。正義そのものだけでは不十分なのです。まさに正義は、それが愛というより深い力に開かれていなければ、自らを裏切ることさえもあります。

こうした理由から、わたしはしばしば、キリスト者の皆さんとすべての善意の人々に、個人や人々の間の問題を解決するためにはゆるしが必要であることを思い起こすよう呼びかけてきました。ゆるしなしには正義はあり得ません。わたしの思いが、特にパレスチナと中東地域で続く危機的状況に向かう中、ここで今、もう一度繰り返します。かの地域の人々にあまりにも長い間苦しみをもたらしてきた重大な問題の解決は、単純な正義の論理を乗り越え、ゆるしの論理にも開かれた決断が下されない限り、見いだされることはありません。

キリスト者は、神が愛ゆえに人との関係に入られたことを知っています。そして神は愛を、人からの応答として待っておられるのです。ですから愛は、人間の間に可能な、最も崇高で、最も気高い形態の関係なのです。愛は人間の生のすべての分野を活性化し、国際秩序にまで広がらなければなりません。「愛の文明」が支配する人類社会だけが、真の恒久的な平和を享受できるのです。

新年の初めにあたって、すべての言語と宗教、文化のうちに生活する皆さんに向かって、古くからの格言を、もう一度繰り返したいと思います。「愛はすべてを征服する」。そうです、全世界の兄弟姉妹の皆さん。最後には愛が勝利するのです。この勝利が早まるよう一人ひとりが努力しましょう。それは、すべての人が心の中で、最も深く望んでいることだからです。

2003年12月8日バチカンにて